Notion AIの議事録機能(AIミーティングノート)を本気で使うなら、ビジネスプラン(¥3,150/メンバー/月)が実質の前提です。フリー・プラスは体験版扱いで、常用はできません。
そして、その3,150円を払うべきかは「使い方」ではなく自分の数字で決まります。結論を先に出します。
- オンライン会議(Zoom/Meet/Teams)を週に何本も録るなら → Notionビジネスに一本化する価値が高い(bot不参加でシステム音声を直接録音できるため)
- 議事録を取るのが社内1〜2人だけなら → Notionプラス+Notta等の専用ツール併用が安い(Notionはワークスペース単位課金のため、全員分の値上げになる)
- 取引先・顧客の音声を録るなら → 料金より先に「同意コントロール」と「データ保持期間」の設定が必須
さらに2026年7月のNotion 3.6で音声ファイルのアップロードが解禁され、「Notionで録音した会議しか処理できない」という前提が崩れました。この記事は、その最新仕様を踏まえて、料金・運用・法務の3軸で「あなたの会社が導入すべきか」を判定できるように書いています。
この記事のゴールは「Notion AI議事録の手順を覚える」ことではなく、月3,150円×人数を払う判断を自分の数字で下せるようになることです。
notion ai 議事録とは何か?まず何をすべきか
Notion AIの議事録とは、Notionのページ上で会議音声を録音し、文字起こし・要約・アクションアイテムまでを自動生成する「AIミーティングノート」機能です。正式利用にはビジネスプラン以上が必要です。
まず取るべき行動は次の3つです。順番に意味があります。
- 自分の環境が要件を満たすか確認する(デスクトップアプリ v4.7.0以降/macOSは13以降)
- 無料・プラスのまま「体験版」で1〜2回試す(要約の日本語精度を自分の会議で確かめる)
- 人数×会議時間で損益分岐を計算してから課金する(後述の計算ブロックを使う)
多くの人が2を飛ばして課金し、「思ったより日本語の要約が荒い」「話者が分からない」で止まります。逆に、1を確認せずにスマホで試して「オンライン会議の音が録れない」と誤解するケースも多いです。
基本の使い方(3ステップ)
操作自体は3ステップで完了します。会議ツール側の設定は不要です。
- Notionのデスクトップアプリでノートを開き、`/meet` と入力して「ミーティングノート」ブロックを挿入します
- 録音ボタンを押して会議を開始します(PCのシステム音声とマイクを直接拾います)
- 会議終了後に停止すると、文字起こし・要約・アクションアイテムが自動生成されます
Zoom・Google Meet・Microsoft Teamsのいずれでも手順は同じです。理由は、会議に「bot(AI参加者)」を招待するのではなく、PC側のシステム音声を直接録っているからです。相手の画面に見慣れないゲストが現れないのは、商談では実務的なメリットになります。
botが表示されない=相手に無断で録ってよい、ではありません。相手の音声を録る場合は、後述の同意コントロールと社内規程の整備を先に済ませてください。
日本語で使うときに先に知るべき制約
日本語運用では、公式ヘルプに書かれた制約を先に把握しておくと事故が減ります。
Notion公式ヘルプ「AIミーティングノート」(2026年)によると、主な条件は以下のとおりです。
- 対応言語は日本語を含む16言語
- 話者ラベルは英語でのみ利用可(日本語会議では「誰の発言か」の自動識別に期待しすぎない)
- 1日の使用上限はユーザーあたり10時間
- 要約生成には約1分以上の録音が必要
- モバイル・ブラウザはシステム音声を取得できず、対面のマイク録音のみ
つまり「オンライン会議を録る=デスクトップアプリ必須」です。外出先のスマホで顧客との商談を録るのは対面時のみ、と割り切る設計にしてください。
Notion AI議事録は「デスクトップ+ビジネスプラン」で真価を発揮します。まず要件確認 → 体験版で日本語精度チェック → 数字で判断、の順で進めます。
なぜ議事録がここまで負担になるのか|主な原因を深掘り

議事録が重い最大の原因は、作業時間そのものが年約320時間/人という膨大な量に達している一方で、ツールによる自動化がほとんど進んでいないというギャップにあります。
キヤノンマーケティングジャパン「議事録の作成業務に関する調査」(2023年公表、2022年12月実施・全国20〜59歳のビジネスパーソン1,000名、うち直近1年に議事録作成経験のある735名を分析)によると、議事録作成にかける時間は週平均6.13時間、年換算で約320時間に上ります。20代に限れば週8.46時間です。
議事録作成に負担を感じている人は67.2%。一方で、AI等の議事録作成支援ツールの導入率はわずか1.4%、利用希望は72.6%。 — キヤノンマーケティングジャパン「議事録の作成業務に関する調査」(2023)
負担感67.2%・利用希望72.6%に対して導入率1.4%という数字は、「困っているのに導入されていない」構造を示しています。原因は3つに分解できます。
原因1:作業が「録る」ではなく「整える」に集中している
議事録の工数の大半は、録音ではなく会議後の整形に発生します。
文字起こしそのものは自動化しやすい領域です。しかし実務で時間を食うのは、決定事項の抜き出し、担当者とのひも付け、期限の明記、共有先への配布といった後工程です。ここを自動化しないと、ツールを入れても体感の負担はあまり減りません。
Notion AIのミーティングノートが効くのは、まさにこの後工程です。要約・決定事項・ToDoが最初から構造化されて出るため、「文字起こしを読み返して手で整える」時間を圧縮できます。
原因2:ツールの導入判断が「料金表の比較」で止まっている
導入率1.4%の背景には、費用対効果を計算する分母がないという問題があります。
多くの検討は「Notionビジネスは3,150円、Nottaは1,185円、だからNottaが安い」で終わります。しかしこの比較は、削減できる時間と社内時給を無視しています。年320時間という分母を置けば、判断は変わります。詳しくは損益分岐の章で計算します。
原因3:生成AIの利用そのものが日本ではまだ薄い
背景として、日本の生成AI利用率の低さもあります。
総務省「令和7年版 情報通信白書」(2025年公表、2024年度調査)によると、日本の個人の生成AIサービス利用率は26.7%で、2023年度調査の9.1%から上昇したものの、米国68.8%・ドイツ59.2%・フランス81.2%と比べて低水準です。20代でも44.7%にとどまります。
社内に「AIで議事録を取る」という前提が共有されていないため、導入の説得コストが高い状態です。だからこそ、感覚論ではなく数字で説明できる資料が要ります。
議事録の負担は「書く時間」ではなく「整える時間」に集中しています。ツール選定は文字起こし精度より、後工程の構造化と蓄積で比較してください。
Notion AI議事録の料金は?無料でどこまで使えるか
Notion AI議事録を常用するにはビジネスプラン¥3,150/メンバー/月が必要です。フリー・プラスは「Limited Trial(体験版)」扱いで、継続運用には向きません。
Notion公式料金ページ(2026年8月時点)の位置づけを整理します。
| プラン | 月額(1メンバー) | AIミーティングノートの扱い |
|---|---|---|
| フリー | ¥0 | 体験版(Limited Trial) |
| プラス | ¥1,650 | 体験版(Limited Trial) |
| ビジネス | ¥3,150 | 正式提供(bot不要のシステム音声録音) |
| エンタープライズ | 要問い合わせ | 正式提供+文字起こしの自動削除スケジュール設定が可能 |
※年払いで最大20%割引(出典: Notion公式料金ページ)
「無料でどこまで行けるか」の実像
無料枠の消費は録音時ではなく、要約やアクション抽出などAIの実行時に効いてきます。ここが誤解されがちです。
つまり無料運用の現実解は、「Notionで全部録る」ではなく次の形になります。
- 会議ツール側の録画・録音、またはNotta等の無料枠で文字起こしまでを外部で済ませる
- 出てきたテキストをNotionのページに貼り付ける
- NotionのAIで要約・決定事項・ToDoに整形する
この運用なら、フリー・プラスでも議事録の「整える」工程は自動化できます。ただし音声ファイルのアップロードはビジネス以上の機能なので、「録音データをNotionに投げて文字起こし」までは無料では完結しません。ここが分岐点です。
見落としやすい追加コスト
料金試算では、AI関連の従量課金も頭に入れておきます。
Notion公式料金ページ(2026年8月時点)では、カスタムエージェントが無料お試し後に月1,000 Notionクレジットあたり$10、Workers(ベータ)は10月15日からクレジット消費を開始すると告知されています。議事録だけなら通常は不要ですが、「議事録から自動でタスクを起票する」といった発展的な自動化を組むと上乗せが発生し得ます。
Notionはワークスペース単位の課金です。「議事録を書く人だけビジネス、他はフリー」という混在はできません。5人のワークスペースなら5人分の値上げになります。ここを見落とすと試算が3〜5倍ずれます。
自社はどのパターン?原因別の見分け方と比較表
判断の分かれ目は、①オンライン会議か対面か ②録音ファイルを後から取り込むか ③相手の音声を録るかの3点です。この3問で構成が決まります。
3問で決める導入判定チャート
上から順に答えてください。
Q1. 録りたいのはオンライン会議ですか、対面ですか?
- オンライン会議 → Windows/Macのデスクトップアプリ v4.7.0以降(macOSは13以降)が必須です。モバイル・ブラウザはシステム音声を取得できません。→ Q2へ
- 対面のみ → モバイルのマイク録音で足ります。会議数が少なければ、後述の「専用ツール単体」も十分候補です。→ Q3へ
Q2. 会議ツール側で録った音声を、後からNotionに取り込みたいですか?
- はい → 2026年7月のNotion 3.6で解禁された音声アップロードを使います。ただしビジネス以上+AAC・M4A・MP3・WAVのみ。MOV・MP4・Loomは非対応です。手元がMP4録画しかない場合は、音声を抽出(変換)する一手間が必要です。→ Q3へ
- いいえ(Notionで直接録る) → 追加の変換作業は不要です。→ Q3へ
Q3. 取引先・顧客など社外の音声を録りますか?
- はい → 料金より先に法務設定です。管理画面(Settings → Notion AI → AI Meeting Notes)で「Enforce consent for all workspace members」をONにし、書き起こし開始時に同意メッセージが自動再生される状態にします。あわせて保持ポリシー(非Enterpriseは最大30日、Enterpriseはゼロ保持+文字起こしの自動削除)を社内規程に明記します。
- いいえ(社内会議のみ) → 標準設定でも運用可能ですが、社内周知は行ってください。
議事録の置き場所を決める比較表
4パターンを実額で並べます。料金はいずれも公式ページの表示額です。
| 比較軸 | ①Notionビジネス | ②Notionプラス+Notta併用 | ③Notionフリー+手動貼付 | ④Notta単体 |
|---|---|---|---|---|
| 1人あたり月額(年払い実額) | ¥3,150 | ¥1,650+¥1,185=¥2,835 | ¥0 | ¥1,185 |
| オンライン会議の音声取得 | bot不要のシステム音声録音 | 会議ツール側で録音→アップロード | 手動(会議ツールの文字起こしを貼付) | ツール側の録音・連携 |
| 音声ファイルの取り込み | 可(AAC・M4A・MP3・WAV/MOV・MP4・Loom不可) | Notta側で処理 | 不可 | 可 |
| 文字起こし量の上限 | 10時間/日 | プレミアム1,800分/月・1回5時間 | ― | 同左(ビジネスは無制限) |
| 日本語の話者ラベル | ヘルプ上は英語のみ(3.6でマイクベースの識別を追加) | Notta側の機能に依存 | ― | Notta側の機能に依存 |
| モバイル対応 | 対面のマイク録音のみ(オンラインはデスクトップ必須) | 専用ツール側でカバー可 | ― | モバイル利用しやすい |
| データ保持・同意 | 非Enterprise最大30日/Enterpriseゼロ保持+強制同意アナウンス | 2サービス分の規程整備が必要 | ― | Notta側の規程を確認 |
| 議事録の検索資産化 | ページ/DBに直結 | 貼り付け運用が必要 | 貼り付け運用が必要 | 別サービスに蓄積 |
※Notionの料金・上限はNotion公式料金ページおよび公式ヘルプ「AIミーティングノート」、Nottaの料金はNotta公式料金ページ(フリー¥0=120分/月・1回3分まで/プレミアム月¥1,185・年払い、通常¥1,980・1,800分/月/ビジネス月¥2,508・年払い、通常¥4,180・文字起こし無制限、1回の録音は5時間まで)に基づきます。
注目すべきは②の実額です。プラス+Nottaプレミアムで¥2,835と、ビジネス単体の¥3,150に肉薄します。差は月315円。ここまで来ると、価格ではなく「議事録をNotionに一本化して検索資産にできるか」で選ぶべき、という判断になります。
②と①の差はわずか月315円。2サービスを管理する手間と規程整備コストを考えれば、Notionを主軸に使っている組織は①への一本化が合理的です。
具体的な解決方法|月3,150円の損益分岐を計算する
結論は明快です。プラスからビジネスへ1人分上げる場合、年6時間(月30分)短縮できれば黒字です(社内時給3,000円で計算)。ここまで低いハードルなら、迷う理由はほぼありません。
計算式はシンプルです。
``` 追加コスト(円/年) = (3,150 − 現行プラン単価) × 12 × ライセンス数 回収に必要な削減時間(h/年/人) = 追加コスト ÷ 社内時給 ```
具体例1:プラス → ビジネス(1人)
差額は月1,500円です。
- 追加コスト:1,500円 × 12ヶ月 × 1人 = 年18,000円
- 社内時給3,000円なら:18,000 ÷ 3,000 = 年6時間
- 月あたり:6 ÷ 12 = 月30分の短縮で元が取れる
議事録の整形作業を1回15分短縮できるなら、月2回の会議で回収完了です。現実的すぎるラインです。
具体例2:フリー → ビジネス(5人)
こちらはワークスペース単位課金が効いてきます。
- 追加コスト:3,150円 × 12ヶ月 × 5人 = 年189,000円
- 社内時給3,000円なら:189,000 ÷ 3,000 = 年63時間
- 1人あたり:63 ÷ 5 = 年12.6時間の短縮が必要
先ほどの調査値(議事録作成は年約320時間/人)を分母に置くと、必要な削減率はわずか約4%です。ここも十分に届きます。
削減率で見る回収額(5人・時給3,000円)
年320時間/人を分母に、削減率別の回収額を出します。
| 削減率 | 1人あたり削減時間 | 5人合計の削減額(年) | 追加コスト(年) | 差引 |
|---|---|---|---|---|
| 30% | 96時間 | 288,000円 | 189,000円 | +99,000円 |
| 50% | 160時間 | 480,000円 | 189,000円 | +291,000円 |
| 70% | 224時間 | 672,000円 | 189,000円 | +483,000円 |
※削減額=320時間 × 削減率 × 5人 × 時給3,000円。時給は各社の実額に置き換えて再計算してください。
30%削減でも年約10万円のプラスです。ただしこれは「議事録作成に週6.13時間かけている」という平均値が自社にも当てはまる場合の試算です。自社の実測に置き換えることを強くおすすめします。
最大の落とし穴はワークスペース単位課金です。「議事録を書く人だけビジネスにしたい」は不可で、全メンバー分の費用がかかります。議事録担当が1〜2人しかいない組織では、その人だけNotta等を個人課金する方が確実に安くなります。
逆に「専用ツール併用」が正解になるケース
次の条件に当てはまるなら、無理に一本化しない判断が合理的です。
- ワークスペースの人数が多く、議事録を取るのは一部だけ(例:20人中2人)
- 外出先のスマホでオンライン会議を録る必要がある(Notionはデスクトップ必須)
- 手元にMP4録画しか残らないワークフローが固定化している(Notionは音声形式のみ)
少人数チームや議事録担当が全員に近い組織はNotionビジネスへ一本化、大人数×担当が少数なら専用ツールの個人課金。分岐点はワークスペースの人数構成です。
ケース別の対処|Teams・音声ファイル・無料運用
ここでは実務で詰まりやすい3ケースを、具体的な手順で解決します。Teams会議も専用連携なしで録れますが、音声ファイルは形式の壁があります。
ケースA:Microsoft Teamsの会議を議事録にしたい
Teams専用の連携設定は不要です。ZoomやGoogle Meetとまったく同じ手順で録れます。
- Notionのデスクトップアプリでノートを開く
- Teams会議を開始する(Teams側の設定変更は不要)
- Notionのページで `/meet` → ミーティングノートを挿入 → 録音開始
- 会議終了後に停止し、要約・アクションアイテムを確認する
理由は前述のとおり、会議に参加するbotではなくPCのシステム音声を録っているからです。そのためTeams側の管理者設定でbot参加が禁止されている環境でも動きます。ただし、システム音声を拾う都合上、macOSでは画面収録・マイクの権限許可が必要です。うまく録れないときは、まずOSの権限設定を疑ってください。
ケースB:スマホのボイスメモや他ツールの録音を取り込みたい
2026年7月1日のNotion 3.6で音声アップロードが追加され、Notion外で録った音声も文字起こし・要約できるようになりました。
これは上位記事の多くが追いつけていない仕様変更です。以前は「Notionで録音した会議しか処理できない」という制約がありました。
実務上の注意点は形式です。
- 対応:AAC・M4A・MP3・WAV
- 非対応:MOV・MP4・Loom
つまり、Zoomのクラウド録画(MP4)やLoomの動画をそのまま投げても通りません。動画しか手元にない場合は、音声トラックを抽出してM4AやMP3に変換する工程を挟みます。運用に組み込むなら、この変換をルール化しておくと詰まりません。
なお、この音声アップロードはビジネス以上の機能です。「無料で録音ファイルを投げて文字起こし」はできない点に注意してください。
Notion 3.6では話者ラベル(マイクが有効な状態に基づく参加者の自動識別)も提供開始されました。ただし公式ヘルプ上、話者ラベルは英語でのみ利用可とされています。日本語会議では発言者の手動補記を前提にしておくと安全です。
ケースC:とりあえず無料で始めたい
無料運用の現実解は、「文字起こしは外部、整形はNotion」という分業です。
- 会議ツールの文字起こし機能、またはNottaのフリープラン(120分/月・1回3分まで)でテキスト化する
- そのテキストをNotionのページに貼り付ける
- NotionのAIで「決定事項」「ToDo(担当・期限つき)」「3行要約」に整形させる
- 議事録データベースに保存し、日付・プロジェクト・参加者でタグ付けする
この形なら、費用ゼロで「整える時間」を圧縮できます。フリー・プラスでもAIミーティングノートを体験版として試せるので、課金前に自社会議での日本語精度を必ず確認してください。1分未満の録音では要約が生成されない点も、試すときに覚えておくと混乱しません。
予防・再発防止のコツ|精度と運用の型を作る
議事録の失敗は、AIの精度不足より運用の型がないことで起きます。先に型を決めておけば、生成物の手直し時間は大きく減ります。
精度を上げる事前準備
録音を始める前の1分で、精度は変わります。
- 固有名詞リストを会議ノートに先に書いておく(社名・製品名・略称・人名)。AIは前後の文脈を参照するため、ページ内に正式表記があると誤変換が減ります
- アジェンダを箇条書きで置いておく。要約の構造が安定します
- 1分未満の録音は要約されないため、短い立ち話は無理に処理しない
- 1日10時間の上限を踏まえ、終日イベントの全編録音は分割する
議事録テンプレートの型
毎回同じ器に流し込むと、検索資産になります。最低限、次の5項目を固定します。
- 日付/プロジェクト/参加者(データベースのプロパティにする)
- 決定事項(1行1件)
- ToDo(担当者・期限をプロパティで持たせる)
- 保留・持ち帰り事項
- 次回アジェンダ
ポイントは、ToDoを本文のチェックボックスではなくタスクDBのレコードとしてひも付けることです。本文に埋めたままだと、会議が増えた瞬間に追跡不能になります。
社内ルールとして明文化すべきこと
運用の再発防止は、技術ではなく規程の問題です。次を文書化してください。
- 誰が録音してよいか(社外同席時の可否を含む)
- 録音開始時に何をアナウンスするか
- 文字起こしの保存期間と削除タイミング
- 議事録の共有範囲(AIミーティングノートは既定で個人プライベートのため、共有設定を明示する)
- AI生成物は必ず人が確認してから配布する
AIミーティングノートは既定で作成者のプライベートです。「録ったのに他のメンバーが見られない」というトラブルはここが原因です。テンプレート側で共有先を決めておくと防げます。
精度対策は「固有名詞の事前共有」、運用対策は「テンプレート固定」、リスク対策は「規程の明文化」。この3点セットで議事録は仕組みになります。
専門家・公的情報の見解|セキュリティと同意はどう扱うべきか
社外の音声を録るなら、2026年3月に追加された同意コントロールをONにし、データ保持期間を社内規程に書くのが最低ラインです。ここは上位記事がほとんど触れていない論点です。
Notionのデータ取り扱い(公式ヘルプ)
Notion公式ヘルプ「Notion AIのセキュリティとデータ保護」(2026年)によると、取り扱いは次のとおりです。
Notionおよびそのサブプロセッサーは、デフォルトでユーザーデータをモデルの学習に使用しない。LLMプロバイダー(Anthropic・OpenAI等)のデータ保持は、エンタープライズ以外のプランで最大30日、エンタープライズはゼロデータ保持。 — Notion公式ヘルプ「Notion AIのセキュリティとデータ保護」(2026)
実務上の意味は明確です。学習利用はデフォルトで行われない一方、非エンタープライズでは最大30日の保持が発生し得るということです。取引先の機密を含む商談を録る場合、この30日をどう説明するかが情シス・法務の論点になります。エンタープライズではゼロ保持に加え、管理者が文字起こしを任意スケジュールで自動削除する設定も可能です(Notion公式料金ページ, 2026年8月時点)。
録音同意コントロール(2026年3月12日追加)
Notion公式リリースノート(2026年3月12日)によると、AIミーティングノートに同意コントロールが追加されました。
設定手順は次のとおりです。
- 管理画面の Settings → Notion AI → AI Meeting Notes を開く
- 「Enforce consent for all workspace members」 を有効にする
- 以後、書き起こし開始時に同意メッセージが自動再生され、参加者に録音とAI利用が通知される
この機能の価値は、同意取得を個人の善意ではなく仕組みに落とせる点にあります。担当者が言い忘れても、システムが必ずアナウンスします。社外との商談を録る中小企業ほど、ここを先に固めるべきです。
「まだ導入していない」ことのコスト
前掲のキヤノンマーケティングジャパン調査(2023年公表)では、議事録作成支援ツールの導入率は1.4%、利用希望は72.6%でした。総務省「令和7年版 情報通信白書」(2025年公表)でも、日本の個人の生成AI利用率は26.7%と海外主要国(米国68.8%、フランス81.2%)を大きく下回ります。
この状況は、裏を返せばいま整備すれば社内の相対的な優位になりやすいことを意味します。ただし焦って規程なしに録り始めるのは逆効果です。順番は「規程 → 設定 → 運用」です。
録音の可否は、社内規程だけでなく相手との契約や取引先の情報管理ルールにも左右されます。重要な商談や個人情報を含む会議では、事前に法務・情シスへ確認してください。この記事の内容は一般的な整理であり、個別の法的判断を代替するものではありません。
やってはいけないNG対応
先に失敗パターンを潰しておきます。ほとんどの事故は、仕様の思い込みと同意の省略から起きます。
- 相手に伝えずに社外会議を録る
botが表示されない仕様は「気づかれにくい」だけで、無断録音を正当化しません。同意コントロールをONにし、開始時に必ず通知します。
- プラン差を確認せずに全社導入を決裁に出す
ワークスペース単位課金のため、「議事録担当だけビジネス」は不可能です。人数×3,150円で再計算してから稟議に上げます。
- MP4録画をそのままアップロードして「使えない」と判断する
対応形式はAAC・M4A・MP3・WAVです。MOV・MP4・Loomは非対応なので、音声抽出という一手間で解決します。
- スマホでオンライン会議を録ろうとする
モバイル・ブラウザはシステム音声を取得できません。オンライン会議はデスクトップアプリ v4.7.0以降(macOSは13以降)が必須です。
- AIの要約を確認せずにそのまま配布する
固有名詞の誤変換や、ニュアンスの取り違えは起こります。特に金額・期限・責任範囲は人が必ず確認します。
- 話者ラベルが日本語で完璧に効く前提で運用設計する
公式ヘルプ上、話者ラベルは英語でのみ利用可とされています。日本語会議では発言者の手動補記を前提にします。
- 保存期間を決めずに録りためる
非エンタープライズではLLMプロバイダー側の保持が最大30日発生し得ます。自社の保存ルールと削除タイミングを先に決めます。
NG対応の共通点は「確認していない前提で走ること」です。形式・端末・プラン・同意の4点を先に潰せば、導入後のトラブルはほぼ防げます。
まとめ|今日やる3つのこと
最後に行動に落とします。この3つを今日中に済ませれば、判断は完了します。
- 要件チェック:自分のNotionデスクトップアプリがv4.7.0以降か(macOSは13以降か)を確認する
- 体験版で試す:フリー・プラスのまま1回、自社の会議(1分以上)を録って日本語の要約精度を見る
- 数字を出す:`(3,150 − 現行単価) × 12 × ライセンス数 ÷ 社内時給` で、回収に必要な削減時間を計算する
判断の目安はこうです。プラスから1人分上げるだけなら年6時間の短縮で黒字、フリーから5人分なら年63時間(1人年12.6時間=年320時間の約4%)です。社外の音声を録るなら、課金より先に「Enforce consent for all workspace members」をONにしてください。
Notion AI議事録は「安いから使う」ツールではなく、議事録をNotionの検索資産に統合するための投資です。人数構成・端末・法務要件の3軸で判定すれば、答えは自然に決まります。
よくある質問
Notion AI議事録の使い方は?最短の手順を教えてください
デスクトップアプリでページを開き、`/meet` と入力してミーティングノートを挿入し、録音開始 → 会議終了後に停止するだけです。停止後、文字起こし・要約・アクションアイテムが自動生成されます。会議ツール側の設定変更は不要です。精度を上げたいときは、録音前に固有名詞(社名・製品名・人名)を同じページに書いておいてください。
Notion AI議事録は無料で使えますか?
フリー・プラスでは「体験版(Limited Trial)」として試せますが、常用はできません。無料で回すなら、他ツールで文字起こしを作り、そのテキストをNotionに貼ってAIで要約・ToDo抽出まで整形する運用が現実解です。ただし音声ファイルのアップロードはビジネス以上の機能なので、録音データをNotionに投げて文字起こしする使い方は無料では完結しません。
Microsoft Teamsの会議もNotion AIで議事録にできますか?
できます。Teams専用の連携設定は不要で、Zoom・Google Meetと同じ手順です。会議に参加するbotではなくPCのシステム音声を直接録音する方式のため、会議ツールを問いません。ただしオンライン会議を録るにはデスクトップアプリ v4.7.0以降(macOSは13以降)が必要で、モバイルやブラウザではシステム音声を取得できません。
手元にある音声ファイルをNotionに取り込めますか?
取り込めます。2026年7月1日のNotion 3.6で音声アップロードが追加され、スマホのボイスメモや他ツールの録音を文字起こし・要約できるようになりました。対応形式はAAC・M4A・MP3・WAVで、MOV・MP4・Loomは非対応です。MP4録画しかない場合は音声を抽出して変換してください。この機能はビジネスプラン以上で利用できます。
取引先との商談を録っても大丈夫ですか?
技術的には可能ですが、同意の取得とデータ保持の説明が前提です。管理画面(Settings → Notion AI → AI Meeting Notes)で「Enforce consent for all workspace members」をONにすると、書き起こし開始時に同意メッセージが自動再生されます。あわせて、Notion公式ヘルプ(2026年)が示すLLMプロバイダーの保持期間(非エンタープライズは最大30日、エンタープライズはゼロ保持)を踏まえ、社内規程に保存・削除ルールを明記してください。個別の契約や法的判断は法務・情シスに確認してください。
Notionビジネスと専用ツール、どちらを選ぶべきですか?
ワークスペースの人数構成で決まります。年払い実額はNotionビジネスが¥3,150、Notionプラス+Nottaプレミアム併用が¥2,835(¥1,650+¥1,185)、Notta単体が¥1,185です。議事録を取るのが全員に近いならNotionへ一本化(差は月315円で、検索資産化のメリットが上回ります)、20人中2人だけといった構成なら専用ツールの個人課金が安く済みます。Notionはワークスペース単位課金である点が判断の軸です。




